はじめに

クリスマスも忘年会も正月もひきこもりにとっちゃ何も変わらない一日です。

 

 

班替え

学年の一大イベントといえばクラス替えである。ならばクラスの一大行事は席替えだ。以前も言ったようにクラスの人数は大体36,37人。6つの班に分けられる。
班は自由に決まるわけではなく、席が前後で隣り合わせ3:3の男女で構成される。席は男の子と女の子が常に隣り合う。縦に男の列と女の列が交互にある。クラス替え直後は、男女それぞれの列を出席番号でうめていくだけだ。先生が顔と名前と出席番号を一致させるためだろう。


いままで変わる席替え。ランダムでバラバラになるのは楽しみだった。ガチャだ。くじひきはひけるなら何度でも引きたい。当たり外れがあったり、仲がいい人、好きな人、かわいい人と隣同士になりたい。みんな欲望がせめぎ合う。せめてどうか同じ班であってほしい。くじ番号に願いを託す。先生もエンターテイナーだったね。


くじ番号は先生が紙をちぎって書いていた。ご苦労さまです。ただ、小学生もずる賢いもんだから、平気で買収や席交換をしていた。ばれたらやばい。特賞に先生の教卓目の前特等席をご進呈。拒否権はない。あたりの席は、窓際で日が当たる左下の席だ。最高の場所だ。ぽかぽか陽気で最高に昼寝が捗る。窓際だったらどこでも嬉しかったね。


最もクラスの雑巾掛けの場所によっては、雑巾臭くもある。雑巾掛けを外に出してしまえばいい。僕としては、誰かと一緒の班になりたい、そんな気持ちより窓際のほうが大事だった。班で分かれていると言っても、小学生はクラスを超えてなぜか仲がいいしね。
中学生、高校生だと部活で知り合いでもしない限り、自らの部屋や垣根をあまり超えない。小学生の生態は教わらずともグローバルよ。


ドッチボール

体が大きくなる高学年になると、ボールを使った遊びに徐々にシフトしていく。かの小学校は、生徒の人数に大して学校の校庭がせまい。逆に生徒が多すぎた。1年生から6年生までが一度出てくる昼休みは、夏の市民プールだ。ぎゅうぎゅうに渋滞する。言い過ぎか。それでも、場所を取る遊びは高学年が先に専有していしまうことが多い。体が大きいからね。ドッチボールや、サッカーは広さがいる。野球はバットを持ち込み禁止されていた。新聞紙素材の野球なら教室でできるしね。小さい部屋用ほうきもテニスのラケットみたいで丁度いいバットだ。


高学年は、スペースを専有してしまう。低学年はしぶしぶ狭いところか、裏手にいびつな形のコートを作るしかなかった。高学年と低学年の仲が悪いわけじゃないよ?ただ、常にまざって遊びはしない。気兼ねのない同学年のほうに軍配が上がる。だから、突如として3年生vs5年生のドッジボールがはじまることも会った。


ケンカも起きるっちゃ起きる。小学生はサルだからな。どっちが先にいたやら、いないやら。水掛け論をするのが小学生は大好きだ。いつ言いましたかー???何時何秒地球が何回回ったときぃーーー??この煽りは基礎中の基礎。精神攻撃検定初級認定書。
結局は、仲良くなったり。低学年を力で押しのけたり。言いたいことは、ドッジボールをのびのびできるのは4年生くらいからだったてこと。男の小学生は、いつだってマウントをとりたがる。流石に1年生、2年生にはみんな優しいけどね。まーぜて、なんて言われたらそりゃまぜる。断る理由がない。遊ぼうじゃないか。

 

ドッジボールはチーム分けがいる。クラスのやつら、別のクラスの奴ら、低学年。ごっちゃまぜ。何にせよルールとチーム分けをしなければゲームができない。とーりっぴ、そう掛け声をかけ、じゃんけんをする。
勝ったほうから1人指名する。負けたほうが次に指名する。毎回じゃんけんをするこの方式は公平であった。次ははやく選ばれたいと、モチベーションにもなる。強い子も大体均等に分かれる。もっとも小学生程度だとそこまで差はでない。ボールをうまく投げるコツを知っているか。片手でボールを投げられるか。逃げる力。ここらへんは選ぶための大きな理由になる。


体が比較的に小さいときは、避けることに楽しみを見出していた。5,6年制にもなると、ボールをうまく投げて相手を倒すことも楽しみになる。ドッジボールのボールは柔らかく、頭にあたっても大したことはない。しかし巨人のでかいM君は、小学生とは思えない速度で殺人ボールを投げてくる。ぼくはデブのC君をよく盾にした。


デブのC君は動けるデブ。でかいってのは縦でも横でもドッジボールでは正義だ。あつい脂肪が、速度をやわらげる。ルールでは、あたっても、跳ね返ったボールを味方が地面に付く前にキャッチしたらセーフだった。その点でも、脂肪のC君はあ他ってもボールが上に上がりやすい。カバーしやすし。生存力たかし。評価も高かった。


それるが高校でやったドッジボールはやばかったな。僕はハンドボールに所属していた。ハンドボールの弾は硬い。高校生はもう大人と大差ない筋肉量がある。あとは分かるな?あの殺し合いもそれはそれで楽しいがね。相手をノックアウトするために、松脂も使っていた。鼻血ぶーぶーよ。胸キャッチは論外だった。両手のひらで速度を納めるのじゃ。

 

ドッジボールで骨折。

初めて骨折を経験したのは、交通事故に会ったとき、ではなかった。ドッジボールでクリーンヒットしたときだ。

 

交通事故のはなししたっけ?友達の家からの帰り道。2つの国道が交わる大きな交差点がある。車の交通量も多い。
堪え性のないぼくは、目の前の赤信号が青に変わる前に自転車を漕ぎ始めていた。もちろん、目の前の信号が青になる少し前って意味だよ。垂直に交わる別の道路も、すでに赤に変わっている。ぶぅうううんどーん。ごろごろごろと吹っ飛んだ。


10mくらいぼくは転がったらしい。トラックでなくて幸いだった。相手は普通自動車。あっちの車は完全な信号無視。この少年も、青にかわる直前だったけど信号ではまだ赤の信号無視。とくに咎められはしなかった。何を言われたか忘れただけとも言う。そのときのっていた自転車は見事にぶっ壊れた。身代わりになってくれたのだ。


自転車の犠牲と引き換えに、僕は骨折も大きな怪我もなし。というか血もでなかった。かすり傷が滲んだくらい。打撲もない。ぴんぴんしていた。子供の体はとにかく柔らかく弾性にとんでるね。ぼよんぼよんはね飛んだって聞いた。すくっと、立ち上がって歩いて家まで帰ったからね。現場に呼び戻されたけど。次の日も普通に学校に行った気がするし。いや病院だったけ?病院かも知れない。学校では10tトラックにはねられて無傷だった少年になっていた。もちろん、のっかった。

 

おっと、話がそれてしまっている。初めての骨折は右手の小指だった。ドッジボールで、相手のボールをキャッチしようとしたら薬指と小指にダメージを与えてしまったらしい。気づかずにドッジボールを続けた。


昼休み終わってなんか痛いな―?と思った。保健室の先生が、折れてるわね。そう冷静に言った。淡々と言うからはてなマークが浮かんでいた。あれよあれよと病院に連れて行かれる。医者の先生が、あー折れてますねという。そうか。折れたのか。
レントゲンをとるとキレイにぽっきと折れたらしい。医者は次にこういった。真っ直ぐにするために小指の骨を引っ張り合わせますね、と。思い出すだけで、胸がバクバクする。こういう痛い描写苦手なんよ。じゃあなぜしたんだって、トピックがあったから…。俺は顔面蒼白ひぇええと言いつつ、医者はとまらない。痛かったような痛くなかったような。


骨折から治ると、骨はより太くなるらしい。だからか、右手の小指の第二関節は一回り太くなっている。なんだがか小指が曲がっているようにも見える。ほんとに治ってんのかー?この想像は怖いから止しておこう。


I君重傷骨折

4年生にやたら精悍でイケメンでなよなよしたかっこいいやつが転校してきた。サッカー少年で外人みたいなイケメンとか嫉妬の炎がやばいね。そういえばI君は先日結婚したらしい。お幸せに。ガッデム。
転校してしばらくたつと彼はヤバい骨折をした。骨が肉を突き破って、(省略)。なんでこんな痛々しいことを描写せなあかんのか。痛々しい光景を目の当たりにすると、胸が苦しむんだよ。解散。


自転車。心のブレーキはない。

小学生は怖いもの知らずだ。鬼ごっこでは平気で危ないところを走り回る。しげみを分け入り、身の丈もあるほどの雑草を掻き分ける。木に登り、ジャングルジムからは飛び降りる。躁状態の自殺志願者である。


自転車のブレーキを使うことはまずなかった。急な坂を平気な顔して、駆け下りる。とんでもないスピードが出る。脇から車がきたら、確実に死ぬ。跳ね飛ばされてブロック塀にきれいなザクロが咲くでしょう。というか俺が死ななかっただけで、こんな原因で死ぬやつ絶対いる。運が良かった。


長い長い急な坂をブレーキを使わずに駆け抜ける。速度を保ったまま、曲がりくねった道を右に左に曲がる。そんな命知らずなレースをやっていた。時には走り、キックボードで、自転車で、ローラースケートで。車輪は転がるから仕方ない。

 

ドMのTさんと注射

最近は注射も慣れた。血液抜かれることに少しの不安はある。

 

小学生時代は、てんでダメだったね。Tさんという危篤な少女がいた。精神がね。彼女は小学生なのに真正のドMであった。いいところのお嬢様なのはずなのに。多分5,6年生のクラスで一緒だったのかな?


Tさんは中学受験をしたから、同じ中学校じゃなかったような?あれ同じ中学校だっけ。いや、違うはず。小学校は子どもたちが一堂に解する場所だから、予防接種をまとめてうけさせるのにも最適だ。


一年に1回か2回か、体育館に順番に並び注射を刺される。ぼく?その日だけは、血の気がひいた顔で一言も喋らなかった。まな板のうえの鯛どころか出荷寸前の牛だった。逃げても無駄だ。やつらは出席簿で管理してくる。脱走は意味がないのだ…。


クラスでも痛いのはやだーと、わいわいがやがわ話になる。そしてTさんは言うのだ。「えっ、注射って気持ちよくない???」と。変態である。性癖の発露が早すぎる。彼女はいまもドMだろうか。

 

Tさんは女の子の友達からいじられるのもひどく喜んでいた。
口では「やーめーてーよー♡」と。あぁ、すでにハートマークの語尾ついてますね。口もとがゆるむような笑顔。あんな満面の笑みでいじられる子おる?おらん。


Tさんと言えば、何が原因かTさんと言い争いになった。言い争うといっても、子供特有の水掛け論だ。根拠も乏しい。私がただしい、お前は間違っている、いーやぼくがただしいとか。しょうもないことだったと思う。


ぼくは、議論で相手を打ち負かすことがとりわけ強いわけでもなかったろう。ただ、Tさんはとんでもない雑魚だった。雑魚というか、自爆…?Tさんの言葉を屁理屈で下していくと、なんだかTさんがどんどん興奮してヒートアップをする。
沸点に到達した。そして突如、彼女は鼻血を吹き出した。吐血かと思った。混乱と静寂がクラスに舞い降りた。Tさんは笑っている。なにがおかしいのか、口がだらしなくにんまりと緩んでいる。えぇ…。いじめられて興奮したの…?


Tさんは「えへ、えへへ、ち、違うの。」と言っていたが、何が違うのだろう。「ね、ねぇ、聞いて、違うの。興奮したわけじゃなくて、えへ、なんか鼻血が出ちゃったの♡」心なしか喜んでいるようにも見える。語尾に♡も見える。彼女の味方はいなかった。Tさんと仲の良いうHさんも苦笑いからの爆笑をしていた。
Tさんは真正のドMであった。あまり美化されてない記憶なのが悔やまれる。変態だよぉ。

 

 

 

Tさん元気かなぁ。ただそんなに仲がいいわけでもなかった。マンション組と仲が良かったから、そのつながりで話すことが多かった気もするけどね。