鼻呼吸ができないと馬鹿舌になる話

 

1. はじめに

匂いってのは嗅ぐことで、いろんな思い出が去来する。好きな女性の匂いを毎日嗅いでる人は嫉妬で殺したくなるがお幸せに。
匂い、その中でも悪臭は心に深い傷跡を残す。トラウマも大体匂いから思い出す。

日常的になるたけ見ないようにしても避けられないものでも、トイレや、生ゴミ。汚いは意識の外側に置きたい。でもね、わたくし汚物あなたのとなりにいるの。

 

2. 鼻がもげる

2.1

生ゴミといえば、夏だ。冬の温暖化は嬉しいけど、夏の温暖化に日本人はもっと危機感を覚えたほうがいいかも。日本の夏は特にやばい。一度、海外の乾燥してカラカラした暑さを体験してほしい。水さえあれば非常にハレルヤ。湿度が少なく、汗がすぐ乾く。日陰がアモーレ。日本は日陰すら暑い。高い湿度のせいだ。


経験的に、生ものは常温でかつ湿度が高いとすぐ腐る。夏に白米を冷蔵庫に入れ忘れることで学んでいく。バイキンマンに大して、夏のアンパンマンは無力だ。犠牲者を増やさないために、アニメで教えておいてください。
匂いも冬より夏のが強い。湿度が関係する。高い湿度は、匂いの分子が大気中に拡散しやすくなる。だから同じ生ゴミでも夏のが芳しい。

海の匂いを感じやすいのは湿度のせいってことね。ほぼ湿度100%。塩の匂い、海藻や、海の匂い。魚臭さと塩臭さの中になんかいろんな匂いを感じるよ。

 

2.2 

思い出したくない思い出のフタを開ける。だいぶ記憶も薄れてるから匂い控えめ。「夏の生ゴミ運んでる途中に破れた事件」が在る。
住宅街に済んでいる我は、家を出て、共同ゴミ集積場まで家ゴミを持っていかぬばならん。

 

夏、くそ暑い日、湿度も高かった。非力な子供時代。ぱんぱんの生ゴミを捨ててこい。この時点でもう分かる。誰だって分かる。最後まで説明する必要ある?ない。
生ゴミは重い。水がたぷたぷしてる。しかもプラ袋が引きちぎれんばかりにのびやがる。汗のせいか滑りやすい。ゴミ捨て場まで意外と距離があって、一思いに運びきることができない。休み休みだ。地面に置きながら、そして必死に上に再度持ち上げながら運んでいく。


積載限界量。そんな言葉がゴミ袋に許されない過酷な家だった。あるいは、親は知ってて俺を犠牲にしたのか。悪魔だ。子供特有の非力さは無力だ。生ゴミのなかのスイカの皮が悪かったのか。原因は多分全部だ。

 

とにかく、どぱーんと破れた。おえぇ。びーびー泣いた。しかも親は片付け手伝わない。自己責任論じゃなくて恐喝と拷問の類だからなあれ。信用はこうやって滅びる。それは再生されない。
それ以来、ゴミ集積場に近い家には住みたくないな―と思ってる。家からのゴミ捨てが楽なこと、たまに家の目の前に生ゴミとゲボが夏にこぼれてる可能性があること。

悩ましい選択だ。


なんでこんな汚い話をしてるかって?嗅覚疲労って知ってる?鼻の話をしたかったんだ。

 

 

3. 人間の鼻は疲れやすい

3.1

嗅覚疲労とはつまり、人間の鼻は匂いに対してすぐ慣れてしまうことだ。一時的に鼻が馬鹿になって、特定のにおいに反応できなくなるとも言える。つまり順応で正しい。極端な話、どんなにくさく異常な刺激臭だろうと、そんなに長くない時間過ごせば住めば都ってわけ。ショック死しない限り。有毒ガスで死ぬな。ガスマスクがないときの耳寄りな情報です。


ここで面白い鼻の特徴がある。嗅覚疲労で1つの匂いに慣れたとしても、別の匂いに対しては機敏に反応ができる。いい匂いは別腹。
くさいにおいが2種類以上ある場所では、地獄を味わうってことか。

 

3.2

人間の鼻は疲れやすいおかげで、ひきこもりが自分の体臭がどんだけくさいか気づかず。仕事帰りのおじさんがどんなにくっさい靴下を履いていても忘れて土間についついあがってしまい。ブレスケアで口臭がケアできたと勘違いする。

こんな身近な鼻の思い出が1つ2つあるでしょう。

 

そして人間の鼻は、よく犬やら別の動物やらと比べられて、まるでおまけのような扱いを受ける。けど実際そう捨てたもんじゃない。運命の異性を嗅ぎ分けたり、味わいをより多く感じたり。危険を察知できる。

 

4. 鼻とにおいと味。

4.1

こんな臭い話ばかりしている後にするのもなんだけど、やっと閑話休題である。味にも鼻は関係する。

 

人間は舌で味を感じる。一般常識。あまり知られてないが、鼻は味のより細かい機微を、におい分子で感じ分ける。味の大部分は鼻に依存している。


でも、ステーキの匂いを鼻から嗅いでもステーキの味はしない。化学の授業でアンモニアを嗅いでもおしっこを飲んだ気分にならない。いぬのう〇こで、いややめておくか。鼻から嗅いだ匂いが味になるってわりといい面より悪い面のが際立つ。実際に感じないし。何?フェイクニュースですか。

 

4.2

人間にとって当たり前の特徴がある。鼻と口の通り道が最終的に1つに合流する。そしてまた気道と食道に分かれる。ネズミは鼻は気道と1本道。口は食道と一本道。それぞれまったく別の経路。


人間は口呼吸と鼻呼吸どっちでもできる。でも、たいていの動物は鼻呼吸しかできない。多くの動物は鼻血を出したら生死にかかわる。花粉症になるなら人間より死活問題だ。アレルギー性鼻炎はけっこうな死因なのでは?人間のエゴで無精子症にされたスギさんも動物達に益があるといいね。それより蚊をなんとかしてくれ。ぼくは花粉症じゃないんだ。

 

 

人間は鼻と口が1つに合流することで、口からのにおいも鼻で感じることができる。このにおいを、口中香、あと香、と呼ぶ。かっこよさ重視なら、レトロネーザル。口中香が味わいの大部分を補ってくれる。薄味な味付けも、だしの風味も、柑橘系のふわっとした甘さも繊細に教えてくれる。


人間の口の湿度は食事中大体100%。唾液がたくさん出るからね。繰り返すが、湿度が高く、常温だと匂いの分子は拡散しやすい。人間の口は匂いが広がる条件を見事に揃えている。だから、鼻の入り口から嗅いだ匂いよりも、口の中を通って鼻に戻った口中香はより繊細に味を教えてくれる。


舌は7つの大まかな味を判別するのに長けている。しょっぱい、あまい、にがい、すっぱい、からいと、後2つなんだっけ。しぶみ?1つ足りないけど!7種類のはず!です!

鼻は匂い分子を300種類ほど刺激として受け取れる。圧倒的な差だぁ。この刺激たちが滋味のある美味しいものを、脳に情報として送ってくれる。コクやら深みやら、他人に言われると意味わっかんない表現は鼻由来というこでここは一つ刃をお納めください。300種類もの味を表現する語彙なんてないのです殿様。

 

5. 個人的な謎

5.1


鼻は舌より多くの刺激に反応できる。だから鼻を摘むと味が分からなくなる。そういう話を見る。実は少し納得がいってない。


鼻を摘むっていうのは、入り口を塞ぐだけ、よね?入り口を塞いでも、口側からの口中香が大事なんだから、関係ないじゃん。そう思うんだけど、どうにもそれに対する説明が見つからない。Google検索下手くそだ。


風邪を引いたり、鼻水が詰まったりしても味は分からなくなるのは分かる。でも、例えば鼻の中に、やたら匂うハーブの塊を突っ込む。そして鼻を摘む。匂いって感じなくなると思う?逆説的にいうと、鼻水の匂いがしないのは、鼻水に匂いがないからなのか、鼻の中にそんざいするからなのか。いかん迷走が始まった。

 

カレーを鼻にぶちこんで鼻を摘んでみると、、、カレーのにおいは感じる!!!。ただ、言われた通り鼻をつまんだ状態で、50%フルールジュースを飲み比べると、味はどっちも似通っている。違いが曖昧になる。

 

5.2

あー、もしかして、通り抜けるってのが大事なのか?
匂いの分子が鼻に行く必要がある。どうやって行くかって前提がすっぽり抜けていた。

 

口中香が胃の方向じゃなくて鼻へ向かうには、気流の流れがいるのかも?
鼻が塞いでたら、呼吸は口でするしかない。口の中の匂い分子は口から出ていってしまうか、あるいは胃に落ちていってしまう。


鼻をつままず鼻呼吸することで、口中香が初めて息の流れで鼻を通りぬける。なるほど?おそらく正しそうな気がする。口呼吸じゃなくて、鼻呼吸を普段からすることで味を美味しく味わえる。そういうことらしい。

 

いや、これ重要な説明だろ。なんでどこも書いてないんだ。推測だから合ってるかもわかんないし。

 

 

6. 最後に

 食べ物を口に入れて会話をするなを言い換えよう。
「声を出して会話するには、口から息を吐き出す。すると口中香が鼻へ行かず、口から出ていってしまう。味が逃げていってしまう。」


ほーう?いい。いい言い訳じゃないか。もくもくと食べることが美味しさの秘訣で、余計な応答もシャットアウト。一石二鳥。会話は食べ終わってから存分に。

 

黙るほどうまいのです。食レポに新しい歴史が生まれた日の話でした。