目次

 

1. 始まり

1.1 Just do itが伝わらない

 

Just do it. 
アメリカの俳優、シャイア・ラブーフ (Shia Saide LaBeouf) が出演・投稿した動画の名前。あるいは、”いますぐやれ”、そんな意味。

今さっきの映画CMの少女が「大事なのは、挑戦することよ」と言っていた。

これらの言葉が響く人、響かない人の差はなんだろうか?

言う人に問題があるのか?成功者ばかりなのに?

それとも受け取る人に差があるのだろうか?

 

あるいはそもそも、言葉なんて無力なんだろうか?

 

1.2 言葉に溢れた世界


世界にはいつの時代も言葉で溢れてる。
かつての偉人達は時代に、偉大な功績、うねり、そして言葉を残し。土に還っていった。

遥か昔、人が書籍として言葉を保存した時代から、今もずーっと、あらゆる言葉、知識、教養が語りつがれている。

 

「深く考えない人生は、生きるに値しない。」 
ソクラテス

「親切にしなさい。あなたが会う人はみんな、厳しい闘いをしているのだから。」 
プラトン

「己を愛するごとく、汝の隣人を愛せよ。」 
イエス・キリスト

「心を強く保つには、体が元気でなければ」 
ブッダ

「苦悩を突き抜ければ、歓喜に至る。」 
ベートーヴェン

「明日死ぬかのように生きよ。永遠に生きるかのように学べ。」 
ガンジー

「人生は公平ではない。そのことに慣れよう。」 
ビル・ゲイツ

「最も重要な決定とは、何をするかではなく、何をしないかを決めることだ。」
スティーブ・ジョブス


失敗だとか成功だとか。信念だとか不屈だとか、眩しい言葉は世界を埋め尽くしている。

数え切れないほどの名言、偉人、見本、生き方に哲学や知識がある。見本がある。なのに偉人は圧倒的少数派で、世界の多くは凡人で平凡でありふれた人ばかり。人々らは名もなき一人として、歴史にも、何にも残らず時の狭間に消えていく。

最も、現代はかつてないほど偉人が溢れた時代だろう。星の数ほどいる。多すぎて、偉人の中の偉人の中の偉人の中の偉人までいるだろうさ。偉人のバーゲンセール。

かつてないほど、心の豊かな人。歌の上手い人。誰からも知られている人。科学を発展させた人。平和を作った人。人をぶっ殺した人。インターネットはあらゆる偉人を生み、世界へと毎日送り出している。

 

1.3 幻の前提

彼らとぼくの差はなんだろう?なぜ偉大な人達がいて、そうじゃない人がいるんだろう。世界は真理と知性に溢れているはずなのに。
彼らが勝者で、私を含めて大多数はすでに敗北者として負けているんだろうか。
偉大さへの答えは、Just do it。今すぐやれば、夢が叶うんでしょ?

 

 なのに人々はどうしてこんなにも、不安定で、不安で、恐怖を抱えているんだろう。
もしかしたらぼくだけかもしれない。ぼくは不安も恐怖でいっつも不安定だ。

 

 偉人の名言や言葉、生き方。彼らのものには、彼らにとって当たり前すぎて気にもとめない”前提”が省略されているのかも知れない。
もしホントに省略された”前提”なんてものが存在するのなら、僕はとっても気になる。気になって眠れないかもしれない。寝なきゃ精神はひどくなるばかりだ。
もしかしたら、その幻の”前提”は僕の人生を180度変える魔法かもしれない。

 

 

2. 原因探し

2.1 材料を集めよう

残念ながら僕はあなた方を納得させるだけの科学的な根拠を持っていない。
だからとても、うさんくさく結論ありきに、自分の予想を披露しよう。

 それっぽいいくつかの話をしよう。脳について語ろう。脳は複雑なシステムをもつ。未だに完全に解明されてない。わかっていることもいくつかある。脳に作用する薬もある。なぜ作用してるか判明してない薬もある。しかし事実、人を救っている。人体実験は偉大だ。

 

脳の仕組みはいくつかある。
1).脳は一時的に覚えたり考えたりできる限界をもつ。4つまでだ。関連する情報なら1つのグループとして扱える。つまり、4つの小さなグループを脳はすこしの間考えて覚えておける。

2).人の脳細胞は生きてるだけで毒素を生む"metabolic toxins"と呼ばれる毒だ。その毒を掃除するために、人間の睡眠中に脳は縮小する。結果脳にスキマが生まれる。そのスキマを洗浄液が流れ、毒物を洗い流してくれる。言い換えるなら、深い睡眠中、脳は自分をメンテナンスしている。これは深い睡眠中に行われる。掃除が行われないと脳にゴミはたまり続ける。睡眠不足の人が、人より早く死ぬ理由の1つだ。忘れっぽくなったり、科学的な意味でアホになる。

3). 脳は様々な機能で分かれている。言語を司る部分、感情を司る部分、記憶を司る部分、物事を正常に判断するなど。非常に多くの分野に分かれている。

4). 神経伝達物質。脳内の化学物質。脳の細胞を働かせたり、休ませたりする。たくさん種類がある。ドーパミンとかセロトニン神経伝達物質。精神を安定させたり、活発にさせたり、集中力を高めたり、いろんな効果を持つ。


そんなに正確じゃない。自慢してるわけじゃなくて、いくつかを予想の材料にするつもりだ。詳しく知りたいなら、脳科学の授業が英語だがインターネットでただで受けられる。俺はニューロン(脳細胞の種類の1つ)の構造と機能あたりで、辞めてしまった。

 

 

2.2  外付けの翼は150円もしなかった


ぼくは薬を服用している。アトモキセチン。ストラテラとも呼ばれる。この薬は脳内に、ノルアドレナリンという体を活発にする神経伝達物質を増やして、鬱っぽいとかADHD気味の症状を緩和する。そのうえ、集中力や活発性を与える。1つのカプセルはレッドブルよりも安い。でも文字通り心に翼を授けてくれる。

薬は永続的ではなく、一時的なものだからドーピングにすぎない。医者ってやつは精神病院に来た大抵のやつにひとまずコレを処方する。牽制球のごとく処方してくる。
今の俺は、薬のドーピング状態ゆえに、多少活発で集中力がある。薬のおかげで文章を書くことも推測することもできる。言葉を受け入れることもできる。

薬を取る前の自分の状態と、薬をとった後の自分の変化。言葉を素直に受け入れず、意味もよくわからず、何も実行しないぼーっとした自分がいた。それをもとに、言葉が響かない人の状態を仮説を立てた。

 

 

3. 仮説を立てる

3.1 ゴミで溢れた浜辺

脳の仕組み(1)だ。脳の思考力や、一時的な記憶には限界がある。砂浜に書いた文字のように、脳は4つのことを一時的に脳内のノートに書き込める。けれど、見直したり、書き直したりしなとダメだ。時間という波がいずれは薄めて消してしまう。

”Just do it”が響かない。言葉や意味を受け止められない。つまり脳内のノートに余裕がない。書くスペースがないってことなんじゃないか。
砂浜を例とろう。浜辺に石やゴミ、砂で書いた文字で溢れている状態。ゴミが山盛りに積もっている。もう何か受け入れる余裕がない。

 鬱、ひきこもり、ADHD。ある種の精神病は、不安や恐怖、気分や感情、神経質な性質によって、空きスペースがもうない状態じゃなかろうか。
ゴミで埋もれた砂浜は、寄せては返す波を眺めるだけだ。

じゃあ砂浜のゴミはどこから来るのか?
脳の仕組み(2)だ。それだけじゃなく体の生み出す毒。人が生きてるだけでゴミは自然と溜まっていく。人間は死ぬまでゴミ生産機だ。自然の摂理だ。人は体のごみを、うんこやおしっことして、体外へ捨てることで体を掃除する。掃除しきれず、残ることもある。何かがおかしいときだ。
ゴミを掃除できないんだから、当然中は汚れる。ゴミは体中にたまっていく。同様に脳のゴミも溜まっていく。

 

3.2 ゴミに支配された脳

脳の調子が狂い始める。最初は些細な事かもしれない。
やがて、感情や行動力を制御する神経伝達物質(脳内の化学物質)にも重大な影響をもたらす。そしてやる気や、精神の安定、意欲、学習など様々なものをを司る神経伝達物質が少なくなっていく。セトロニン、ノルアドレナリンドーパミンアセチルコリンなどが徐々に減っていく。

結果起こるのは、不安や恐怖の感情、気分に左右される不安定の表面化、恐怖、やる気の欠如、自分のコントールを失うこと。
はい、脳は不安や恐怖に支配されてしまいました。

自分の不安にとらわれ、執着し、動いて変えることもできず、無限に負のループを続ける永久機関の完成です。カラに閉じ込められてしまった。
言い換えるなら、”不安と恐怖にとわられた状態”。頭がそれでいっぱいになり、他にのことを受け入れる余裕がなく、カチコチに固まって逃れられない状態。
俺はこうだったのだろうか?

 薬は、凝り固まったカラを砕いたのだろうか?脳の砂浜に溢れたゴミを一時的に片付けてくれたのだろうか?
支配されていたぎゅうぎゅうの空間に余裕が作ってくれたのだろうか。

 

もしそうなら。頭に何かがぎゅうぎゅうつまってたら、言葉なんて届かないだろう。
当たり前だけど、コップが満杯だったら水はこれ以上入らない。当たり前過ぎて、口に出すまでもないからみんな口に出さない。

 

 

4. 魔法の言葉

4.1


薬を飲んだおかげか、少し脳に良いスキマができたように思う。
そのスキマは、少しだけ余裕と言葉を受け取れる場所になった気がする。そして、気を抜くとすぐにまた不安と恐怖が心のなかでたくさん生まれて、そのスキマを埋め尽くそうとしてくる。最もただの錯覚かもしれない。

ただ良いスキマ生まれた時、偶然運よく魔法の言葉にっぽいものにであった。ただの言葉だけども。いい言葉だ。

あぁ、Just do itを補う言葉とも言える。

人の行動の直前にある当たり前な前提を表現した言葉だと思う。もしかしたら、これもみんな当たり前過ぎて、口に出さないだけかも知れない。
でも、僕は今まで気づけなかったし、気づいても忘れてしまってたんだろう。

 

4.2 

「不安と恐怖は、欲望と表裏一体である。切り離すことも、消すこともできない。」
欲とは自分のやりたいことであり、望むこと。不安と恐怖はその裏であり、不安と恐怖だけを取りぞくことができない。

 

「気分や感情、欲が起こることを人はコントロールできない。」
人の在り方関係なく、ただ自然に、必ず発生する。そして、時とともに薄れていく。

 

「完全なものはない。あらゆるものは常に不安定に揺れ動き、変化しつづける。常に安定した完璧なものは存在しない。」
諸行無常の意味だ。すべきだ。こうしなくてはならない。これらは完全欲、完璧主義の表れだ。

 

「人は不安や恐怖を抱えながら、事を為すしかない。ぶるぶるとびくびくと震えながら、恐怖に突入するしかない。目の前のことをただ為すのだ。」
ゆえに何かを為したいなら。自らの生きるために、欲を叶えるために目の前の何かをする。

 

 

4.3

素直に心のなかで繰り返せる。僕にとってそんな言葉で、そんな意味だった。探していた前提だと思った。悟りを開いた気分だ。この気持ちが錯覚でないことを祈る。
薬が消えたら、消えてしまう悟りかもしれないが。

役に立っている。少し楽しんでもいる。自分の周りに不安と恐怖が以下に多いか驚くくらい多い。

今の自分なら、
文章を公開して変だと思われたくない不安ある。
不安を裏返す。
文章を公開して、誰かに認められたい欲がある、そう分かる。
では、目の前の欲のためすべきことはなんだろう?
文章を書いて、公開すること。それが私のとる行動だ。
これはたまたま分かりやすい例だ。

 

日常のあらゆる行動や思いにこの気付きをあてはめていっても、つまづくことも多々ある。とても多い。
分からなくなって迷う。ループしたりする。
不安と欲が見つかっても、じゃあ行動はなんなの?と止まってしまうこともある。
今はただ、この悟りが薬の力をも超えて、私に日々の生きる力を与えてくれることを実践するのみだ。

 

4.4

未来の自分はどう思ってるだろう。真ではない。嘘偽りだと言うだろうか。
かつて仏教に出会っていた自分がいるはずなのにどうして今改めて受け止められたんだろう?
言葉を受け取り理解し自分の中に落とし込むには、奇跡のような巡り合わせがいるのかもしれない。
偉大な人達はこの出会いを「私は運が良かった。」は言うのだろうか。
私も、運が良かった、のだろうか。

 

 

5. 最後に

人によっては、こんな回り道をせずとも、思考と行動が直接つながっている人もいるだろう。


気づくまでもなく、目の前のことをがむしゃらになれる人もいるのだろう。
しかし、僕は動けなかった。これからも動き続けられるかはわからない。
僕は気づくの24年かかった。もしこれが新たなスタート地点であるなら、一瞬だが長く遠回りな人生だった。損をした気分だ。

 

 自分の欲、やりたいことに素直で、ぎらぎらした人もいる。生まれたときからそれが当たり前な人を羨ましく思ってた。
あるいはこの気づきを親から受け継いだ人。先生や師、友人から教わった人もいるかも知れない。本から見つけた人。自ら到達した人もいるだろう。

 

この前提は、人間の世界を動かしてきたんだろうか?

もしそうなら、言葉が届かなくなっている人に、不安と恐怖で頭がいっぱいになってる人に、この前提が届くと良いと思う。薬とどっちが効果があるのかしらないが。